長い長いさんぽ 須藤真澄

一昨日の夕方、食事の支度もせずに食い入るようにマンガに読みふけり、滂沱の涙を流しながら「ゆんたん、ゆんたん」とぶつぶつ呟いていた(しかも時折いきなり笑い出す)私を、相方はやや引き気味に眺めていました。でも仕方ありません。だってゆず――ゆんたんは――そういう方は少なくないと思いますが――もう15年近くも「私の」猫でもあったのですから。
大昔に大好きだった須藤さんのマンガに再びめぐり合ったのは、ちょうど私が実家でネコを飼い始めたのとほぼ同時期でした。そのマンガが『ゆず―生きていく私とゆず』。同書によればゆずはうちのネコよりも一歳年上。うちのママンもほどなくゆずのとりことなり、ネコ同士歳が近いせいも会って、うちのネコの話をするときは、自然と「ネコって夜のお散歩が好きなんだねえ(うちのも一緒に散歩をするのが大好きだった)」「オスは喧嘩に弱いと大変だねえ(うちのはメス)」と、何かにつけてゆずと比較するようになりました。うちのネコの成長と重ね合わせるように、ゆずの成長も見守っている、そんな気分でした。
それが15年も続いていたのです。ゆずが亡くなったときのお話を読んで泣かないわけがない。
このマンガで、初めて須藤さんが結婚しておられたことを知りました(いやきっとそうなんだろうなと思ってましたが、マンガに全然出てこなかったので)。別にそういう夫婦マンガでもなんでもないんですが、「ああ夫婦っていいなあ」とこのご夫婦を見ていて思いました。夫婦っていうか、二人ってことがか。なんというか、一人だったらもしかしたらいろんなことが堪えかねてしまったんじゃなかろうか。

最後のお話「ゆずとまま 6」で須藤さんは新しい子猫たちを育て始めます。正直それまで「前のペットが亡くなってすぐ、次の子を飼うってのはいくら寂しいからといってどうか」と思ってました。でも子猫2匹とともに穏やかな日々をすごす須藤さん(のマンガ)を見ていたら、何か別にそういうもんでもないのかもという気がしてます。

悲しいのはなくならないけど 多分この先もなくなんないんだろうけど
悲しいの上に 幸せがパラパラふりかけられた感じがする
そーすっとそのまた上に ゆずへの後ろめたさがパラパラって感じで 多分この先もこんなで
そうやって すべてを抱いてなんとかやっていくんだろう
『ゆずとまま 6』より引用

何かここ読んでまたちょっと泣けました。