ティエリー・ピュズラ PN[2006]

machi20042008-05-06

自然派ワインです。特に好きでも嫌いでもないんですが、よく行く酒屋さんが積極的に自然派を入れているので、割に自然派率は高いかもしれません。
色は透明なうっすらとした暗い赤。いわゆる“ビオ臭”と言われる有機的な匂いが若干するものの、別に気にならない感じ。
上品なイチゴに近い果実臭と、結構ボリュームのあるフルーティーな味わい。
軽いので、こぷこぷと飲めてしまいます。
テーブルワインでこのクオリティは素晴らしい、けど値段も2000円台後半と、テーブルワインにしてはかなり高めだから評価としてはドロー。

ソーミュール ドメーヌ・ギベルトー 2003

machi20042008-04-26


ロワール地方って滅多に飲まないんですが、これが意外に良かったです。
色は薄い暗赤色で、カベルネ・ソーヴィニヨンとさほど変わらないんですが、香りも味も軽い!明るい!
カベルネ・フランは「木イチゴの香り」って良く言われるけれど、生の木イチゴ嗅いだことないんで分からない…。個人的にはプラムに似た爽やかな酸味のある香りと思いました。
味もタンニン少なめでさらっとしていて、軽く飲むにはちょうどいい感じ。

たまには日本酒も

saburou


すっかり日も長くなってきた今日この頃、春の柔らかな夕暮れの空気には、ワインよりも日本酒が似合うような気がします。

活性にごり酒 さぶろう
奈良の中本酒造のお酒。もろみがそのまんま入っていて、酵母がまだ生きているため、瓶詰めした後も発酵が続いてます。
乳酸菌のおかげか、ふくよかな日本酒の甘さの中にさっぱりとした酸味があり、また発砲しているもんだから口当たりはさらに爽やかに。大人のカルピスって感じです。
相方と二人で縁側に腰掛け、薄桃色からグレーに染まりゆく空を眺めつつ、ゆるゆると飲みました。穏やかな春の日。



■表現という作業は基本理性の営みだと思うのですよ

ETVが松井冬子さんの特集だったので興味深く観る。私が成山画廊で彼女の絵画から受けた印象そのままの内容だったと自分では感じた。
この人自体はおそらく、「深い闇」とか「底知れぬ狂気」のようなものは持っていないのだと思う。確かに彼女の絵には「痛み」があり、「呪詛」もある。が、それ以前にまず美しいし、何より観る者を狂気の淵に引きずり込むような、例えばゴヤの「我が子を食らうサトゥルヌス」のような印象は受けない。
もちろん彼女の内側にも「闇」や「痛み」はあるのだろう。(というかむしろそれらを持たずに生きている人がいるのだろうか?)でもそれは今まさにぱっくりと口を開いてじくじくと血を流しているものではなく、「記憶」ないしは「痕」でしかない。そしてその痛みの記憶を「あれは何だったのだろう?」と、時折カサブタを爪の先で剥がしながら理解しようとしている、そんな風に思える。つまり、痛みを糧としながらも、精神の活動としては、とても理性的で健全な営みのもとに作品が生み出されていると思うのだ。
あの写実への徹底したこだわりや、一心に解剖図をスケッチしている姿はまさにそれを裏付けていると思う。
だからこそ、私は松井冬子という人に期待する。深淵の向こう側を覗き込んで帰ってこられるのは、己が闇に生きるタイプの人間じゃあない。命綱をつけたタフな人こそが、作品を引っさげて深淵から戻ってくることができるのだ。

そういう訳で、私にはあのインタビューは正直失敗にしか見えませんでした。何だかなあ、この人から「あなたの中にある痛み」とかそういうことを聞き出そうとしても何も出てこないよ、と思ったら案の定でした。
特に上野千鶴子氏。何でも自分のフィールドに引っ張り込んで論じるのはいかがなものかと。びっくりするくらい噛み合ってないように見えました。
一番引っかかった質問「あなたが幸せになったときの絵を見てみたい」って何だ。
「こういう絵を描く人は精神的に不幸だ」っていう偏見がもろに見えて、正直かなりむっとしました。きっとこの人にはこういう絵に共感する人間も不幸だとか病んでるとか思ってるんだろーなー。

リオハとサンテミリオン

ここんとこ飲みっぱなしのワインが溜まっていたので、さくさく記録。
■アルタディ・ヴィニャス・デ・ガイン2004(スペイン・リオハ)
非常にリオハらしいワイン。ブルゴーニュの繊細な味わいも好きだけど、基本的にはボディのどっしりした渋みの少ない肉感的な味わいのするワインが好みなので(ニュイ至上主義の知人に「下品好き」と言われてしまった。いいじゃん下品上等)、こういうテンプラニーリョ100パーセントのワインは大好き。色は青みがかった濃厚な赤(こういう色ってカベルネメルローでは出ないよね)。グラスを傾けると濃い跡がつくくらいねっとりしている。
バニラの香りと濃厚な果実臭に、ほどよく酸味が感じられます。
こういうワインにありがちな、後味のだらしなさが全く感じられなかったのが見事。ねっとりなのに後味は上品。確か5000円前後。


シャトー・フォジェール2002(フランス・サンテミリオン
この前のピポーがいまいちだったので、リベンジとばかりにサンテミリオンにチャレンジしたらこれが大当たり。こういうワインを待っていたのよ。濃厚な果実味がするのに優しいから、結構こぷこぷといけてしまう。
甘いだけでなく、タンニンも酸味あるのに、バランス良く絡み合ってるからあんまり感じさせないんですよね。何というか、濃いのに端正な顔立ちって言えばニュアンスが伝わりますかね。これで3700円台はお得だ。
あとは30分以上前に抜栓したのが良かったのかも。

シャトー・ピポー2005 サンテミリオン

machi20042008-03-30


「ゴートゥDRC!」というネタはワイン好きからもDMCファンからも受けないだろうなあ、などと思いつつワインを嗜む日々。

「不味いワインというものは存在しない」というのはよく言われることだけど、保存が悪いものなんかは別論として、究極的には好みの問題なのだから、一人の味覚で「不味い」と絶対的に決めつけられるワインはないように思う。
でも「つまらないワイン」というのはひょっとしたらあるんじゃないかとこのワインを飲みながら思った。
パーカーポイント90点という前評判は知らなかったけど、サンテミリオンだし、2005年だし、価格帯も5000円ちょっととお安くないし、まあそれなりに期待して開けたんですよ。

が、滅法つまらないんですねこれが。
最初の口当たりはとにかく固い。がまあそれは良くあることで、そのうち開いてくるだろう…と思って1時間、2時間、3時間経っても全然変わらない。えーと、何というか家に誘った女の子がいつまでたっても警戒心を解いてくれない感じに近いです。
裸になれとは言いませんから、せめてボタンの一つくらい外してくれてもいいんじゃないですかねえ。素材は悪くないのに、何なんだろうこの頑なさは。まだ早かったんだろうか、それとももっと前から抜栓しておくべきだったんだろうか。

もう一度機会があったら、抜栓して半日くらいおいておこうと思うけど、まあそこまでして飲みたい感じでもない。これなら同じサンテミリオンのモンブスケやトロロンモンドのほうがずっといい。

しかし最近のワインの品薄っぷりはどうしたもんでしょうね。価格の高騰もすさまじいけど、サンテミリオンなんて影も形もないったら。

メールフォームのお返事

タヌキさん。
ハレノソラシタの感想ありがとうございました! もはや創作サイトとしての自覚を失いつつある現在、こうして文章の感想がいただけるとものすごく嬉しいです。いや本当に。
水口由紀は全くの偶然です。選手名鑑の写真を見ましたが、きりっとした美人の方ですね。好みです。ていうか“水口由紀”でぐぐると自分のサイトが結構な上位にいるのでちょっとびびりました。何か一人だけ違うこと書いててすごい浮いてるんですが。
それにしても“水口由紀、誰だっけそれ?”と思った自分が情けないです。すっかりキャラの名前を忘れてました。
どうぞ今後ともよしなに。

ルーズちゃんとマールちゃん

最近になって「もやしもん」にハマリだす。(遅いよ)あれを読んでると無性に酒が飲みたくなるので困ります。
オリゼー可愛いなあ。

ここ2週間はまともに家に帰れる状態ではなく、その割には何故か高いワインを飲ませてもらう機会も多く、まあ要するにどんなに忙しくても酒を飲む時間を減らしてはいかんということです。
では1本目&2本目。

おなじみ『シャンボール・ミュジニイ』で、造り手はロベール・グロフィエ。しかもレザムルーズ&ボンヌ・マールです。2004年。
もちろん一人で飲んだわけではありません。何人かで一緒に、でもそれぞれ2杯分くらいは飲ませてもらえたか。
レザムルーズとボンヌ・マールを同時に飲み比べできるなんて(しかもグロフィエで)、もう二度とないでしょう。
イメージとしては、ホストクラブにWaTがいて、彼らを左右に侍らせているような感じでしょうか。ホストクラブ行ったことないんでわかりませんが、まあそのくらい豪勢だということです。人によっちゃ大したことないかもしれませんが、私にとってはあとちょっとで死んでもいいくらいの豪勢さです。

(ちょっとうんちく)
シャンボール・ミュジニーに限らず、ブルゴーニュのワインは、同じ作り手でもブドウが収穫される畑によって、酒のグレードが変わります。シャンボール・ミュジニーの場合、特級畑に認定されているのがこの「ボンヌ・マール」と「ミュジニー」で、「レザムルーズ」はワンランク下の1級畑。
しかし「レザムルーズ」はその名前の愛らしさ(『恋人たち』とか『恋する乙女達』と訳される。ちなみにこの名前のせいで、カロン・セギュールと並ぶ、あまりワインに詳しくない人に“彼女との記念日に何飲んだらいいかなあ”と聞かれたときに、しばしば挙げられるワインでもあります。カロンのほうの理由はラベルを見れば一目瞭然。とはいえカロンってかなり重くて固いから、本当はワイン初心者にはあんまりお勧めできないと思うんですが。いや良いワインですけどね)や特級に勝るとも劣らない味わいから、むしろ特級畑より人気があるともいわれております。
(うんちくおわり)

香りがね、まずもう素晴らしいのですよ。前にもミュジニーについては書きましたが、いずれも花のような柔らかい香り。(花のような、というのは私が使う場合には、たいていの場合本当に花の香りがするわけではなくて、果実系の強い香りというよりは、ふわりと立ちのぼる感じの優しい香り、という意味です)。
個人的にはボンヌ・マールよりはアムルーズ(注:ワインに詳しい人たちは、レザムルーズ“les amoureuses”の“レ”を読まずに「アムルーズ」と呼ぶらしいです。“おおきく振りかぶって”を“おお振り”とか略しちゃうようなもんです。多分)のほうが好みではありました。いずれも“繊細”と言われるC=ミュジニーのワインですが、私にはアムルーズの方が繊細さにおいては勝っている気がしました。もちろんそれは裏を返せばボンヌ・マールの方が力強さをたたえていたということで、もはや後は好みの問題。もう百合と薔薇のどっちが好き? サファイアとルビーどっちが綺麗? てなもんです。あー幸せ。