安永知澄『やさしいからだ』3巻

「からだ」に関するオムニバス作品集……というふれこみはもはやあまり関係なくなってますが面白いので気になりません。この人のマンガって、ものすごくパーソナルな部分に踏み込んだ話を書くから、うまく理解できない話もあるんですが、そういうところも含めて魅かれます。3巻は「野田菊」がインパクト強烈。あのラストには思わず背筋が寒くなりましたよ。「怖っっ!!」って声に出しちゃったし。こういう作品を読むと「やっぱりこの人ってちょっと病んでるのかな?」と感じます。とはいえ何故か「すごく好き!」と手放しで言えないのは、真面目すぎる作風のせいか。もう少し肩の力を抜いた話ならもっと好きになれるんだろうけど、そうしたらこの人のマンガじゃなくなる気がする。マンガの中で描写されるリアルな皮膚感覚も、彼女が他人と生真面目に向き合ってきた結果のように思えるし。