鮎川哲也・島田荘司編「奇想の復活―ミステリーの愉しみ」

新本格のアンソロジー。このうち竹本健治メニエル氏病』、麻耶雄嵩『遠くで瑠璃鳥の啼く声が聞こえる』は既読。
厚くて重くて(だって900ページもあるのです)病人には不向き。それに病み上がりで気合入れて本格読もうって気にはならないし、選択ミスだったかも。
目当てだった綾辻行人の『どんどん橋、落ちた』は流石に面白かった。問題編の半分程度で犯人の目星はついて、解答編読む前にトリックも全部分かったんですが、あれだけ厳格に『フェア・プレイのルール』を守ったら、答えは自ずとあれしか思い浮かばないと思うんですけどね。フェアってのは幅のある言葉で、「ある程度」のフェアはスポーツのルールみたいなもので、それなしではゲーム自体が成り立たないけれど、フェアネスを厳密にすればするほど、それはルールを超えて作者へのハンデみたいなものに変質していくような気がする。それが本格を面白くするのかつまらなくするのかは分かりませんが。