2005年洋楽アルバムベスト10

RAUL MIDONラウル・ミドン) “STATE OF MIND”State of Mind

1曲目のタイトルトラックを聴いてKEZIAH JONESを思い浮かべる人が多かったんだろうな。斯くいう私もキザイアを思い出していました。結局キザイアの影をずっと引きずっているのですね、私(もしかしたら皆さんも)は。

RAUL MIDONはこのアルバムを聴けばわかるとおり、キザイアとはまったく違った個性の持ち主です。真摯かつどちらかというと内向的な音で、私はなんとなくTERRY CALLIERを思い出しました。ちなみにこのアルバムにはJASON MRAZとSTEIVIE WONDERも参加しています。

JOHN LEGENDジョン・レジェンド) “GET LIFTED”Get Lifted

KANYE WESTに見出されたという新人ですが、メロディーはキャッチーだし、隙のないアルバムです。HIP-HOPファンにもアピールできる内容だからでしょう、セールス的にもかなり成功したようです。当然KANYEも参加しています。昨年は例の政治発言を含めてKANYEイヤーでしたね。ところで「カニエ」といったら蟹江敬三の顔が浮かんでしまうのは私だけ?

COMMON(コモン) “BE”BE

これは一年を通してヘヴィーローテーションの一枚でした。一聴していいなと思ったわりには聴き飽きない(普通、第一印象いいやつって後で飽きが来たりしません?)。それは多分、このアルバムの持っている統一されたコンセプトとクールさが心地いいからでしょう。

KANYE WESTや、上で挙げたJOHN LEGENDも参加しています。それなのにKANYEやJOHN LEGENDに比べて、日本でのCOMMONの評価が高くない気がするのですが、何故なんでしょうね?

私個人的には、KANYEのアルバムよりこっちが好きです。KANYEやJOHN LEGENDを聴いて気に入ったけど、まだこれを聴いてない方(そんな人あまりいないか)には絶対にお勧めです。ちなみにERYKAH BADUとは別れちゃったらしいですね。

ERIC BENETエリック・ベネイ) “HURRICANE”Hurricane
かつてD’ANGELOと並びニュークラシックソウルの貴公子と称された、アメリカの平井堅(私と真知が勝手に命名)ことERIC BENETの3rdアルバムです。このアルバムは衝撃を与えるような名作ではありませんが、タイトルトラックをはじめとする曲の良さとERICの安定した美しいヴォーカルが心地よい佳作です。私も真知とライブにも行ってきましたが(彼の“フェロモン”レポートは、真知が以前アップしましたね)、そのステージは本当に魅力的でした。一時期私生活で色々とあってカムバックが危ぶまれていましたが、このアルバムを聴きライブを見た限り完全復活ですね。
ところで、ERIC BENETって”楽園””LOVE OR LUST”の頃の平井堅に似ていると思うのですが、如何でしょうか?

FRANZ FERDINANDフランツ・フェルディナンド) “YOU COULD HAVE IT SO MUCH BETTER”You Could Have It So Much Better

前作からずいぶん速いペースで2ndアルバムが出てきてびっくりしましたが、現在ソニーウォークマンのCFで流れている”DO YOU WANT TO”をはじめ、彼らの持つ胡散臭さと格好良さが1st以上に楽しめるアルバムでした。もし今年このアルバムが出なければ、ここで紹介するのはMAXIMO PARKにするつもりだったんだけどねぇ……FRANZのインパクト勝ちです。

PAUL WELLERポール・ウェラー) “AS IS NOW”As Is Now

やっぱイイっすね、PAUL WELLERは。聴くとびしっと気合が入ります。
私は、中学時代にTHE STYLE COUNCILに嵌まって以来のPAUL WELLERファンですが、ソロになってからのアルバムとしては、”STANLEY ROAD”よりこっちのほうが好きです。この人は、その時どきの精神状態が音楽に如実に反映する人ですが、その意味では、現在の彼は「迷い」がないんだろうなと思います。

JASON MRAZジェイソン・ムラーズ) “MR.A-Z”MR.A-Z(初回限定スペシャル・プライス)

群集から石を投げつけられて血を噴出しながら歌い続けるPVが非常に印象的だった”WORDPLAY”は、以前真知がこのブログでとりあげていたと思います。彼のメロディーセンスと声の美しさがとても気持ちいいんだけど、どこかちょっとひねくれている、そんなアルバムです。ちなみにこの人もJACK JOHNSON一派みたいに括られているみたいですが、そういう括りっていい加減うんざりします。

JACK JOHNSONジャック・ジョンソン) “IN BETWEEN DREAMS”In Between Dreams

正直、日本でJACK JOHNSONがこんなに売れるとは思わなかった。近頃ではDONOVON FRANKENREITERはともかく、G.LOVEBEN HARPERまでもがジャック・ジョンソン一派(もしくはサーフミュージック)的な括り方をされており、もともと彼らの方が好きだった私は不満です。個性を無視するなっつーの。
えーと、JACK JOHNSONのアルバムの話でした。相変わらず気持ちいいです。あ、それから”SITTING,WAITNG,WISHING”のPVは何度見てもいいですね。逆回転なのにしっかり口が合っているところに感動。それでも突っ込みどころを探しちゃったりしていると、なかなか飽きません。

N’DANBI(エンダンビ) “A WEIRD KINDA WONDERFUL”ウイアード・カインダ・ワンダフル
10枚選ぶうちの最後の一枚で悩んだ結果、これにしました(ちなみにもう一枚の候補は敬愛するSTEVIE WONDERの新作でした)。昨年売れたAMERIE ”1THING”の、神経中枢を逆撫でにするような高音アタックにほとほと辟易してしまっていた私にはこのアルバムは救いでした。PRINCEや、かつてのLIVING COLOR、近時ではN*E*R*Dのようなブラックロック的な音が好きな方やフリーソウル系の音が好きな方は気に入っていただけるんではないでしょうか(HIP-HOP的要素は希薄ですが)。あと、ANGIE STONEとか好きな人にもお勧めです。

CAETANO VELOSOカエターノ・ヴェローゾ) “CAETANO LOVERS”CAETANO LOVERS

これはコンピレーションアルバムですが、なかなかいい内容なのでお勧めしたくてここに上げました。知っている方は知っているでしょうが、CAETANO VELOSOはブラジルを代表する音楽家であり、世界有数のヴォーカリストです。

このアルバムは、CAETANOのアルバムの中から、日本のミュージシャン(小山田圭吾大沢伸一小野リサゴンチチ、セイゲンオノ、畠山美由紀など)がフェイバリットな1曲を選曲しています。昔のアルバムから最近のアメリカンポップスカヴァーまでカエターノの多彩な魅力を味わえる一枚です。CAETANOの入門編としてはうってつけの一枚になっています。個人的には、畠山美由紀選曲の”SO IN LOVE”に胸が締め付けられます。これが気に入った方には、カエターノのボサノヴァコンピレーション”A BOSSA DE CAETANO”に収録されているCOLE PORTER作曲の”GET OUT OF TOWN”もお勧めします。