半野喜弘『アンジェラス』

Angelus

この人、今までずっとノーマークだったんですが、そのこと自体が自分としては不思議。
とりあえず今年の邦楽アルバムベスト10が一つ決まったなという感じです。
参加ミュージシャンが坂本美雨永積タカシ中納良恵原田郁子とまあ何とも豪華でビタ好みな顔ぶれで、それだけでもう「買い」なんですが、半野喜弘のアレンジによって、彼らの声がいつもと違う面を見せてくれるのがとても興味深かったです。
郁子ちゃんは何だか、ちょっと大人びたよそゆきの声をしていたし、良恵さんは何だか都会的でスタイリッシュな歌い手のようだった。
でもこのアルバムのベストテイクはなんと言ってもfeat.永積タカシ『夢の匂い』でしょう。永積君の声がものすごくソウルフルで、色っぽいんですよねえ。第一声からぞくぞくきちゃいました。
ハナレグミ」のあの歌い方もいいんですが、スーパーバタードッグの時みたいな、吼えるタイプのボーカルスタイルもこの人似合うなあ、と改めて思いました。

ちなみに音の作りは、エレクトリカルな音をベースに、アコースティックな音を重ねる手法。最近のテクノ系(って括っていいんでしょうかね)はこういう電子音ベースで有機的な音楽を作り出すのが流行なんでしょうか。音としては全く違うんですが、レイハラカミなんかとちょっと感じが似ている気がしました。


似ているついでに。
ホントのきもち
閃光(通常盤)
こちらのCDもなかなか素敵。UAとrei harakamiが、互いの個性がぶつかりあう緊張感を出しているのに対し、矢野顕子のほうは、レイハラカミの個性をも「矢野ワールド」に取り込んでしまっている感じがします。矢野顕子ってすごいなあ、ホント。
ともあれ、エレクトリカルな音にボーカルを乗せる場合、ニュートラルな声よりもむしろ、個性的すぎる声の方がしっくりくるようです。