キリンジ『エイリアンズ』

キリンジの中でも傑作といえるこの曲は、堀込弟の、甘いけど、でもどこか投げやりで自嘲気味なヴォーカルと、冨田恵一の地味だけどすごく作り込んだ、メロウなアレンジが、これ以上ないほど完璧に決まっています。またサビの部分では兄弟がユニゾンで歌うのですが、男声のオクターブ違い(!)のユニゾンは、何とも不思議な感じ。でも聴いていて切なくなるこの曲には、華やかなコーラスは似合わないし、やっぱりこれでいいんだなあと
これ以外のスタイルはあり得ない、奇跡のように素晴らしい一曲です。

私はこの曲を聴いているといつも寂れた商店街が浮かびます。完全に死んだ訳じゃないけど、人気と活気がほとんどない。時間帯は限りなく夜に近い夕暮れ。消えていく赤と広がりつつある青が混じって、空を白く染める一瞬。
うちの相方は人気のないニュータウンの団地を彷彿とすると言ってました。

聞き手が何かを想像せずにはいられなくなる。優れた音楽とはそういうものだと思います。
昨日の夜「エイリアンズ」を聴いていたら、無性にこの曲の良さを誰かに知ってもらいたくなり、脈絡なく書いてしまいました。本当、他に書くことあるだろうに。SSFCの投票予定作品は何だったのかとか。