内田美奈子『赤々丸』

復刊ドットコムで復活していたことを知って遅まきながら購入。中学から高校にかけて、この人のマンガが好きで好きで、赤々丸は一時期バイブルみたいだったんですが、引越しのごたごたで無くしてしまったので手に入って嬉しい。
人格が分裂して、しかも22世紀の地球にタイムスリップしてしまった赤井君。そこは人間と、ネコンと呼ばれる猫族とが共存する社会だった。共存と言っても実態は虐げられている猫族は「猫族解放同盟」を立ち上げて自由と独立のために人間に闘いを挑む。赤井君の片割れ、赤々丸は猫族のために共に戦う…。という話。

当時はぼーいちとか猫谷とか獅子真似とか猫丹なんかの話って(めね田は面白いから別)、主軸のストーリーとは関係ないし正直ウザイなと思うことも少なくなかったんだんですが、今読むと、彼ら「戦時下における普通の猫(ひと)たち」の話がどれほどこの話の中で重要だったのかが良く分かる。一触即発の戦況にあって、そのなかで投獄されたり金儲けしたり逃避したりしながら、逞しく生きる普通の人(猫)たちが活き活きと描かれているからこそ、この荒唐無稽な物語がリアリティを持つんだろう、と思う。
ちなみに私『赤々丸グラフィック』も『DAY,IN,DAY,OUT』も『ブラインド』も『百万人の数学活用法』も『ナイフと封筒』も持ってます。(もちろん『BOOM TOWN』も)ちょっと自慢、って誰に自慢してるのかわからんけど。