『人格転移の殺人』 西澤保彦

「七つの黒い夢」で気になったので早速読んでみた西澤保彦。人格が入れ替わる装置に偶然入ってしまった6人。人格がくるくると入れ替わるなかで殺人が起きるという頭がくらくらするような設定。果たして犯人は誰か? また何のために?
通勤時間が読書タイムなので、毎日続きを読み始めるたびに頭を整理する必要に迫られました。すごく面白い!とまではいきませんでしたがなかなか楽しめました。

構成が優等生的に丁寧なので、ロジックの積み上げとか構成の仕方などは参考にしたい人です。
(以下ネタばれ)
マスカレード”が部屋(チェンバー)にいる間に起きたこと、もしかしたら綾子は人格転移当事者になっているのでは、という可能性には気づいたのですが、うまく結びつけて結論をだすことができなかったのが悔しい。うう。
あとちょっと疑問だったのは、セカンド・シティが配偶者同士が相互理解を深めるための装置だとしたら、なぜわざわざ二名以上の人格転移を許すのかということ。もちろんあれを作ったヒトたちが一夫一婦制を採用しているとは限らないけど、マスカレードが止む条件からすると、一夫一婦制を前提としていると考えるのが一番しっくりくる。
 まあ、あくまでも可能性を示唆しているだけだから、別にいいんですけどね・・・。