二十歳そこそこの若造に

してやられました。いや単にちくま文庫の20周年フェアに乗せられて、ついちくまを2冊も買ってしまったってだけなんですが。この前つむじかぜ食堂の夜を買ったばっかりだってのに。

まだ全部は読んでないのでとりあえずラインナップだけ。
■すぐそこの遠い場所すぐそこの遠い場所 (ちくま文庫)
大好きなクラフト・エヴィング商會の本。アゾット(AZOTH)という架空の場所についての架空の辞典……架空の場所の詳細を覚書的に記すという手法自体は、山尾悠子さんの「遠近法」やボルヘスの「バベルの図書館」に似ていなくもないんだけど、どこまでも世界が破滅に向かって収斂していく感じのあちらに比べて、こっちは随分と開放的でのんびりしている。どちらも黄昏の中にあることには変わりないのにね。

■記憶の絵記憶の絵 (ちくま文庫)
こちらも大好きな森茉莉のエッセイ。巴里(パリではない、巴里)の滞在日記が半分くらいを占めていて、この中で登場してくる矢田部達郎という心理学者(実在←当然)がとても魅力的。『明治後期の一高の寮生の、一種野蛮な知性を持った魅力が紺の背広の下にまだ荒々しく息づいている……動作は荒々しいが、ひどく洗練されている。気概と自信が荒鷲のように内に羽搏いている彼(は)……』(以上引用)なんて、どこかのキャラクターの造形に使いたいくらい。